・どうぶつのひみつ ・どうぶつのむじつ ・どうぶつのひくつ ・どうぶつのごじつ ・えと・せとら ・(無題) ・メイガ ・美しき日々 ・蚕 |
わんわん わんわん きょうは あんまりてんきがよくない くうきがしめっているから さんぽはむり べつにいいや きょうはどこいっても くうきがおもい いやなにおいもよくのこる ちかちかうるさい しかくいののまえで みんなが あれこれ いうんだ なんだか おちつかないな みんなのみる あれ ぼく よくみえない わんわん わん みんなよりひくいとこにいる ぼくが こわくないんだから まだだいじょうぶ みんなのかおと ぼくのごはんと よくあるくみちが わかればいいんだ こんなときは なにをしよう? おきにいりの におい をかぐの くんくん くんくんくん あのこの におい とか おかあさんの におい とか だいすけくんの におい とか みんなそういうのがすきなんだろうけど おとうさん ここは いつも ひだまりの におい だ
あたたかくなってきました はねをすばやくうごかしとびます あ かのじょ やあ あなた ぼくら なかよくとびまわる タオルの奥 乾物の中 壁の上 みるとこみるとこ メイガの王国 無為に過剰なわがやにて 何世代にもわたって増え続けて 4LDKコンクリ箱のなかを 空気の凝る 不自然の極みを 自然きわまりなく暮らすと 彼らの一族は こんなにも栄えたのだった 洗いあがった食器ではねを休め 醤油さしの中に飛びこむ みるむしみるむし みんな別モノ 留まっているものを 即仕とめても わたしたちは 鬱々と この世界に手を打つことができないでいる これ以上集中力を奪われていたくない どんなお気に入りの上にでも我が物顔で留まっているのが憎らしく ここは おまえの家ではない と幾度も怒鳴る 怒鳴られても音を感じないらしいやつらは関係ないふうに居座って 鱗粉付着覚悟で押しつぶすと ちゃいろい粉 なにもなかった風をよそおって洗濯籠へおしこんだ 迷が いらない 根絶を図る 蛾の一族の行く末など考えない 殺らねば わたしのほうが ほそく絶えていく やつらの拠点に布巾を掃除機をひとつ残らずけ散らす 共存を考えるほどに戦いつかれてはいないのだ 異次元へ葬る 水責め 圧死 わたしのkillコマンドが反射反応になるくらいまで ひたすら片付ける いやとは言わない
越し湖しか 来し岸か せし瀬しか 思き 春はまだ眠く、ぬるいふかみはしっとりとした土のなか せかいはおんなのこの4次元であふれかえっているのだ もんしろちょうは相手を探す、るりしじみも相手を探す、 行き交うむしたちのふれる先のはなたち実りのはじまり 映つくしき 日々、つつまれて温度変化の体感にて時をしる土のなか 夏はわかいおとこの4次元に支配されているかのようで 葉の深いいろ深いいろ照りつけるものをちからに変えて もう六年めだったのだった、這いずっていかねばならぬ 羽付く雌き 非備、 わたしせみならよかった土はだのひびに卵を産めこんで ジージー煮たぎる声の中とにかく残さなければならない どこまでもいかねばならないが小回りできず衝突する窓 そしてどこにもいなかったどこでもは絶えなかったのだ 虎視去しか 帰し機しか 施資せしか 視き 得尽し期、 被眉 輿こしか 気色しか せし背しか 思き さっといのちのバトンを渡してさっと果てていった先の 灯々ともる実りの享受いろづくことはよわるということ 赤ちゃんたち子供たちのふくろさげるかつてのはなたち 秋はおのれの半分を使いつないでのこったものの4次元 氷鼻つららかたくすきとおる白いそら凍ってしまうか土 舞っているもの待っているものそこでまっているものの 冬に4次元は3次元になり、とまったまますすんでいく 憂つ苦しき 移つく四季 比微 うぐいすのなくなつに 家居気許
正面よりも横顔の方が綺麗なひとの脇腹が かすかに微笑んでいるようにみえたので えくぼをさがして こっそり触った こんなときのお腹は やわらかい方が良い わたしも ゆっくりと弛緩した