・しじみのみそしる(2003/10/7) ・ふるいの(2003/10/21) ・とちおとめ(2004/2/14) ・はは(2004/9/16) ・ゆうううつ(2004/9/22) ・かい一首(2004/9/28) ・かに くう み(2004/11/27) ・ドナドナ市場に(2005/2/7) ・母の登場(2005/03/24) |
みそしるを まぐかっぷ でのむと こまるのは しじみ けれどしるだけのむのもかなしいので しじみもいっしょにまぐにつぐ いただきます はしをつっこむ かたてでぐいっとのむはずが ついばむのにむちゅう なんかちがう まぐ なんかちがう しじみ なんかちがう みそしる ごちそうさま いっぱいめ こんどはしるだけのんで しじみはべつにもらおう しるだけそそぐ おまけがひとつ なにもないのもさみしいので このままさがしてたべることにした
こなは ふるふる ボールにふりつむ しろいこな すなのよう いつのことだったか むらさきのふくろに 入っている どくざとう ひとくちいれると こなは みるみる とけていった けーきになるはずの しらたまだんごになるはずの やさしくあまくなるはずの ボールにつもった しろいこなは ふるいから きえてしまった いつか ねがいがかないますように
のうかのおじさんおにいさんが てまひまかけてそだててくれた あまくて おいしい プレミアものです 15にんくらいよりそって 3280えんです 種のへこみぐあいが じまんなの のせられて はこばれて あのパックの娘たちはケーキの上に立つらしい でもなんにんか いちごソースにされるってないてた あのパックの娘たちはチョコレートの中にとじこめられるらしい スタイルがくずれなくていいわ、という娘もいたけど せっかくのつやと まっかなわたしを見てもらえないのかなしいっていう娘もいた わたしたちのパックは ちいさなおうちへ どうなるかしら 食卓のうえ さあおひろめ こどもが コンデンスミルクのチューブつかんでる おぼろげに やめて やめて わたしたちは そんなものいらないの そのままでおいしいの だれかとめて、ねえ そこのおにいさん あれ、どこかでみたことあるかお 「ことしは冷夏と暖冬がかさなって なかなか出荷できる品質のものができないねえ」 ながねんのけいけんでいくと わたしたちは とちおとめとはいいたくない いちごらしかった あの娘も あの娘も あの娘も れん乳まみれ すきでまみれたわけじゃないのに なまえなんて どうでもいいでしょ そのまま わたし とちくるった おとめ は ふりそそぐ れん乳 くぐりぬけ おにいさん、あなたのくちへ どうだどうなんだ すっぱい果? ミルクぬきでは食えない果? 歯のおくで 胃のなかで まっ赤になってみたところで じまんのへこみは とうに くだかれ やっぱりあまくはならない果
だれにもあいたくなくて 4時半に図書館へ行く わたしのおもっていたあさは もう朝とはよべないくらいのすずしい夜明けで 長そでを着なくてはいけない でないとじてんしゃをこいでいけない 深青のうすくなっていく空気のたかさ ひんやりと無風のはずなのに ひとり内体温動物たるわたしとの温度差で その帯空はゆらぐ ちぢこまって はしりぬける下り坂のはて さいごののぼり坂 その道の延長上に もちろん開いていない図書館 ブックポストに 一通 二通三通四通 すとん ザラガガガガ すとん ザラガガガガ すこしやさしいひかりに向かい 行きとはちがう下り坂ばかりの道を選んでかえる うたがうたいたいのだ どこにもいけないうただ それでも くりかえす くりかえしだ くりかえす くりかえした もういちど、とおもうところ で かえった ついた ひとねむりして起きると 居間からいい臭いがしてくる ははが なにか作っていた 豆腐いりの炒め物 豆腐がはいっているので 白和えとわたしはよんでいる なんかの白和え 白味噌ベース たべていいよ、というので すこしもらった 豆腐のあいま 水菜やら人参やらにかぶさっている へらっとしろいの だいこん なんだか じゃがいも なんだか すらっと うすぎり もさもさたべて たべて 白味噌にまぎれて このよくわかんないものを にこにこ 食わせてくる はは なんというタイミングだろう おいしく食べている きっと記憶にのこらない味なのだけど のこらなくてもいいのだ ぜんぶたべてもらったほうが ずっとずっとよかったのだ
ゆうううつ
ふにふにら あなたがもっとしっかりしていれば と りんだはいわれたらいい そしてながいためいきでも ゆうじんのまえではきつけておけばよかった ゆうううつ ゆうじんはかるくあしらって さらだにでもしてくれるだろう ちょうみりょうは はなげ くすぐられて う が ひとつうく ういた う を りんだがすいこむと さかば は いっしゅんにしてきえうせた
かい 一首
あさりのあさ しみじみ しじみ はまぐり は まくりあがって はだ醤油
かには あなから 身をほじくってたべる みじゅくものの 身のにじむ汁をだらだらたらして もったいない もったいないのは 汁 で 身はうまくとれずくやしい 身はしみて 味の かにで かに! かに!かに! その み は あかくはないのだ どこからもらってきた色だろうか けれど しろくもないんだ もうきっちりと湯立ってしまったから あたまをたべるお腹をきょうは持ちあわせてはいないので これはあしたのぶん みそがうまい というのが かにのみそ しる みそしるを作るよていを あすのことは きいてない
ある晴れた昼下がり 買物へ 市場へ続く道を あるいてた 近くの市場は 海岸へ いくみちの途中 左曲がって 500M 道を急いでるドナドナの しっぽを掴んだ しっぽはすりぬけ進んでく ゴトゴトトン まさかあなたが そんな高い値がするなんて 出掛けるまえに知るわけなかった 福沢が消えた 3枚消えた 今日の財布には 酷なはなしだ ララララララ 最初から知ってたら当然ねぇ むりな買物の予定なんて 立てないや 無駄足はこんで 棒状で さらに無駄足 灰色の海がとびこんだ ドナドナは今日も売られない 私は焦った 他に買える場所もしらない ゴトゴトトン まさか 子牛が丸のまま売れるなんて 切り身もなにも まったくなかった お前の苦悩は なんぼのもんじゃい? 一言問われ 私は詰まった ララララララ まさか ドナドナだれかにかわれてるなんて ここにくるまで しるわけなかった ドナドナの切り身 ドナドナの皮 一つも貰えず 私は泣いた ララララララ そして魚が 二匹もおよいでるなんて 手ぶらでかえるわけにいかなかった 魚は釣って じょうずに焼いた 脂ののった 旨いさかなだ ララララララ
自動車のある生活は たくさん物がはこべて便利だろうな かかえこめるだけの荷をはかりきれずに あやわやと ころころころがっている熟年をみる 今日も必要以上の目方を抱えこんでドアに立って にこにこ 影をおとす 日々 すこやかにおおきく美しくなっていく おもいでの背中をなでてすごしている (とは、よくもいったものだ) わたしたちは 甘いもの食べてればとりあえず大丈夫だから あんたはバナナでもたべなさい という あしあと ふんばって すこしづつ のぼる 食べものといえば甘いものしか 見あたらない家屋のなかで 同夏くわえ はは、とわらった