文字考(ははあ・ふうむ)

ようこそ!
文字みて思ったことをのっけることにしました。

題して「文字考(ははあ・ふうむ)」。
熟語や漢字を一字づつ解体したり、同音のやまとことばから共通の意味を考えたりします。
…といっても 辞書さんたちにきいたことから こんなかな?とおもったことをつらつらかいてるつう代物ですだむ。


ききにいった 辞書さんたち

新字君:『新字源』(角川書店)第319版。1991年1月20生か。
広辞さん:『広辞苑 第三版』(岩波書店)第1刷。s58年12月6日生か。
新解さん:『新明解国語辞典 第三版』(三省堂書店)第50刷。1987年10月10日生か。





   雑談

2004/09/10・11

雑 は 
 左側:木 の上に 九 がのってて
 右側:隹(とり)がいる。
なんか、「きのうえにくぅくぅとりがいるぞ!」てかんじ。
ちいさいとりたち(隹にはなんかそういうイメージがある。ほんとは でかいとり にも使うのだけど)
が 木のうえでくつろいでいてたのしそうなかんじだ。うーん。

談 は
 右側:炎。この字の着目点は「火がめらめら燃えていること」ではなく、
    火のゆらゆら感、もやーとしたとこを言いたいのだそうだよ。(cf.淡)
    炎 を 火が燃えさかってるさま まんまにとると「激論!」てかんじになって、
    それもインタレスティンク゛なんだけども。
 左側:言(ことば)。いうまでもないか。
うむ、とりとめなくはなしがすすんでなごんでるかんじ。

雑 の字は引いたことなかったので
新字君(辞書ページ参照のこと)にきいてみたところ、なんと本字は「襍」で
衣を集める→いろいろの色とりどり糸を集めて衣でつくる、ひいて「まじる」意。
それが → 雜 → 雑 とかわったらしい。

ははあ。まさに今にも通じている「がやがやわいわい」。話のながれにひとのことばが織り込まれていく単語だったのだった。…



補足として、いちおう国語の辞書にきいてみます。
今回は 新解さん と 広辞さん (辞書ページ参照のこと)にうかがいました。

新解さん
 ざつ だん[雑談]-する(サ変動詞形・アリの熟語)
 はっきりした目的もまとまりも無い話(を気楽にすること)。「―をかわす」
 
広辞さん
 ざつ-だん【雑談】さまざまの談話。とりとめのない談話。ぞうたん。

ふうむ。さすが新解さん!わかりやすい、というか当方がおもったまんまだった。やったね。
の一方で広辞さん、談話をひけってことですか。さらに ぞうたん、って。なんかかわいい!気になるではないですか。

更に広辞さん
 だん-わ【談話】1.はなし。ものがたり。会話。
 2.ある事柄についての見解などを述べた話。「首相―」

 ぞう-たん【雑談】とりとめのない話。ざつだん。狂言、三人夫「道々を―致いて参らうものを」

やっぱ広辞さんはむかしのことばすきなんだなあ。ざつだんをかわそう よりも ぞうたんなどいたそうか なんだなあ。ふうむ。


   響

2004/10/23

今回は新字くんにききます。

【響】
なりたち 形声。旧字は、音と、音符郷キャウ(外に向かってひろがる意→向キャウ)とから成り、ひろがる音声の意を表わす。常用漢字は省略体による。
意味 1.ひびき。ア.こえ。イ.さしひびき。ウ.評判。 2.ひびく。ア.音声がひびく。イ.影響する。ウ.評判になる。

ふーん。音+郷 なのか。まんまだ。

【音】
なりたち 形声。もと、言に同じ。のち、これと区別し、口の中に一画を加え、音を変えて、調子をつけた音声の意に用いる。
これを部首にして、音声・音楽に関する字ができている。また、形声字の音符となると、くらい(暗・闇)、とじる(諳)などの意を示す。
意味 1.おと。ね。こえ(声) 2.ふし。うた。音楽。 3.漢字の発音。(対義)訓。 4.たより。 5.言語。文章。 6.かげ。(同義)蔭。

【郷】
なりたち 会意。旧字は、もと卿きょうに同じ。卿の字形を誤ったもの。彊きょう・境に通じて、区画された土地の意に用いる。教育漢字は省略形による。
意味 一.さと。ア.行政区画の名。周代では12500戸ある地。イ.むらざと。むら。いなか。ウ.ふるさと。エ.ところ。ばしょ。 
二.1.むかう。(同義)嚮きょう・向。 2.むき。方向。方位。 3.さきに。さき。むかし。(同義)(日+郷)きょう。 4.まど。
三.1.ひびき。(同義)響。 2.もてなす。(同義)饗。
国読み:ごう。むかしの行政区分の一つ。いくつかの村を合わせたもの。

さっそくそれぞれきいてみると、え。なんですって。
強引かなあ、→ 言+卿 ?

【言】
なりたち 形声。もと、口と、音符ケン(=辛。こころの意→心シン。 一説に、美しく整う意→彦ゲン)とから成り、口からの心のあらわれ、「ことば」の意を表わす。
これを部首にして、言葉、表現、意見などの性質・状態に関する意を示す語ができている。
意味 一.1.こと。ことば。ア.心に思うことの言い表わし。(対義)行。イ.意見。約束。ウ.意味。いうこころ。エ.いいつけ。命令。 2.文字。 3.句。
 4.いう。ア.ものをいう。イ.語る。ウ.述べる。説く。エ.問う。 5.われ(我)。わが。 6.ここに。(同義)焉えん。
 7.→言言げんげん[1.高大なさま。一説にこわれそうなさま。 2.ひとことひとこと。]
二.→言言ぎんぎん[和らぎつつしむさま。]

【卿】
なりたち 会意。ふたりが食物をはさんで向かい合っているさまにより、もと、むかう、もてなす意を表わした。饗きょう・嚮きょうの原字。
宮廷のもてなし役は王の側近の貴人であったことから、転じて、高位高官者、貴人の意に用いる。
意味 1.きみ。くげ。執政の大臣。 2.二人称の代名詞。ア.君が臣をよぶ。イ.同じ爵位の者、または爵位の下の者をよぶ。ウ.夫婦間でたがいをよぶ。エ.姓にそえる尊称。先生。
 3.めでたい。(同義)慶。

そういえば 韻 という字も ひびき とよむけど、こちらが調和している状態をつよくいっているのに対して
響 という字は ハーモニーだとしたらそれぞれ音がありそれがひびいているようなかんじだ。
余韻よりも余響の方がつよそう。
響 に 大勢の(すくなくとも2人以上の)わいわい感がはいってるからなのだな。


   文章

2004/11/22・12/30

まず、新字君にきくです。

【文】
なりたち 象形。もと、むなもとで合わせた衣服のえりの形にかたどり、「あや」の意を表わす。ひいて、文字、文章の意に用いる。 
意味 一 1.あや。ア.もよう。かざり。いろどり。(同義)紋。イ.みやびやかさ。はなやかさ。(対語)質。 2.あらわれ。現象。 3.すじみち。 4.のり。礼儀。
 5.もじ。もんじ。(対語)字。 6.ことば。語句。 7.ことばをつづって、まとまった意味を表わすもの。 8.ふみ。ア.書いたもの。イ.書物。本。ウ.法律。
 9.学問。芸術。(対語)武。 10.仁徳。めぐみ深い徳。 11.人間の知恵によって生み出されたもの。 12.よい。うつくしい。 13.銭の枚数を数える助数詞。
二 1.かざる。ア.美しくする。りっぱにする。イ.うわべをかざる。とりつくろう。 2.いれずみをする。
(国訓)1.もん。ア.一厘のあなあき銭。イ.文数。たび・くつなどの大きさを表わす。一文は二.四センチメートル 2.ふみ。手紙。

【章】
なりたち 象形。元、いれずみ用の大きな針の形にかたどる。ひいて「しるし」「もよう」の意を表わす。借りて、文章・楽節などのくぎりの意に用いる。 
意味 1.あや。ア.うつくしいもよう。イ.いろどり。 2.かざり。文明のかざり。 3.しるし。 4.はん。はんこ。 5.あきらか。明らかにする。(同義)彰・昌。
 6.あらわれる(現)。 7.楽章の一節。 8.詩・文の一節。 9.ふみ。 10.のり。てほん。法律。 11.文体の名。上奏文の一つ。 12.殷代のかんむりの名。 13.古代のこよみで、十九年のこと。

元々は えりもと と 刺青の針 なのか。服飾関係(ビューティー関係とも儀礼関係ともいえる)の語か。
(※ほんとは 語 というところではないですた。2つ以上の文字が合わさってできたものを字、象形文字のようなものを文というのだ、
つまりほんとは 文 といわなくてはいけないとこなんだけど少しわかりづらくつかう当方がまだ馴染めずにいるので今回不採用。)

文、がぬのの模様だとしたら 章は 何かマークのようなものだろうか。
ふーむ、文 というのは おもってたよりも もやーとしたことばだった。章は「あきらか」という訓がかたるように比較的はっきりしている。
当方が思っていた 文章 の(きちんとした内容・形式が要求される)イメージは 章のほうのリードによるものだったのだな。
「ことばをつづってまとまった意味を表わすもの を あきらかなかっこうであらわす」ということか。

なんか、訓(義)がおもしろいな。ふたつともおなじ・というのがいくつかある。
あや・あや ふみ・ふみ のり・のり もようもようで もよ・もよ(とかはだめか)
こういう字典を見ていると ちかい意味としてならべられている言葉が語毎にちがっておもしろい。
そんな処を含めて占い本を読んでいるような気持ちで「ああ・そういう解釈ね」みたいなところで字の性格を慮る当方がいる。むう。



で、今度は あや ふみ のり を 広辞さんにききます。

あや【文・綾】
1 1.物の面に表われたさまざまの線や形の模様。特に、斜めに交差した模様。
  2.条理。すじみち。
  3.文章などの表現上の技巧。いいまわし。ふしまわし。
2 1.経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を斜めにかけて模様を織り出した絹。
  2.斜線模様の織物。あやじ。
  3.曲芸の綾織の略。

ふみ【文】(「文」の字音フンからか)
  1.かきしるしたもの。文字。
  2.文書。書物。
  3.手紙。書状。また、特に恋文。艶書。
  4.学問。特に、漢学。
  5.漢詩。漢文。
  6.紋所の一。結文(むすびぶみ)を組み合わせた形のかたどる。

のり【法・則・典・範・矩】(「宣(の)る」の連用形から)
  1.のっとるべき物事。標準として守るべき事柄。おきて。法令。法度(はっと)。
  2.方法。
  3.教化。
  4.仏法。仏の教え。仏典。
  5.里程。
  6.築堤の切り取りなどの、垂直からの傾斜の程度。斜面。
  7.さしわたし。
のり【乗】
  1.乗物などに乗ること。
  2.素地によくなじむこと。
  3.調子づくこと。つりこまれること。
  4.リズムに乗ること。能でリズム感をいう。
  5.謡曲で、謡と拍子との合わせ方。大ノリ・中ノリ・平ノリの三様がある。
  6.歌舞伎・浄瑠璃などで、台詞(せりふ)を三味線のリズムに合わせていうこと。
  7.二人の興行者が金を出しあってする芝居。

…ははあ。「あやあや」と読んだときと「のりのり」と読んだときとでは かなり内容が変わってくるなあ。
あやあや なら 「そんなかんじよね」とさらっとずばっといってるふうで、おりなす模様から条理を見出してる。
のりのり なら 「そういうことだよね」とざぎっとどしっといっているふうで、何か大切なものをそうある(とかんじたもの)に副っている〈添っている)感じ、
内容は強いんだけどやさしい、うーん、難しいなこの感じつたえるのは。ほかの のり から音義を想像するに のり そのものが偉かったりするわけじゃないんだよな。
ふみふみ は、うーん、まんまだった。ふうむ。
章 で あや・ふみ・のり とかと読むのは人名くらいなのだろうか(調べてない)。
和語って語彙少ないのかそれともよくつかうとこで残ってないのか。


…おおっと!なんか当方この単語で遊びたくてつい いわなかったけど、文章、というのは 章単位でまとまった文 ですよ、て意味です。(cf.楽章)
論文やレポート、小説等の本文全部、または一文、数行を指して 文章 とはもともといわなかったんじゃないかなとおもうです。
「文章になってない」というのはきちんとした章立てがなってないよ、という意味のはず。レトリックというよりも組立の問題なんですな。
とはいえ、レトリックも組立もどのあたりから個人嗜好・趣味といっていいのかがグラデーションはいっていてなんかいいづらい。じゃなく、
自分がまだ組立やレトリックに対して大した意見がないということなのだろうな。しかしまあ何でも中身が問われるなあ、なんとかそっちに目が行くようになったということかなあ。


   中

2005/02/25

まずは 新字君のいうこと。今回は これをもとに うなります。

【中】
なりたち 指示。もと、AとBとを区別したが、のちに合して中の一字となる。(注:元の字は2つあり。表示の術を持たないので仮に A,Bとする)
Aは、物(□)を一線でつらぬき、「うち」の意を示す。Bは、軍の中心に立てる旗で、ひいて、中央の意を示す。
意味 一 1.うち。なか。ア.内部。(同義)衷。(対義)外。イ.場所・時間の範囲内。ウ.心の中。エ.まごころ。(同義)忠。オ.宮中の略。カ.外国に対し、本国の意。
 2.なか。ア.あいだ。イ.なかほど。なかば。ウ.なかごろ。(同義)仲。エ.まんなか。中央。オ.ほどよさ。かたよりのない正しさ。
二 あたる。あてる。ア.的に射あてる。イ.予想どおりになる。的中する。ウ.悪気にきずつけられる。「中毒」 エ.応じる。オ.合格する。

…もとは二字あったのが融合してひとつになった文だったか。
(*文、というのは2字以上組み合わさってない漢字のことだす)
いまはAの方でしか形がのこっていないからBの字の誇らしげな由来に付いては思いもよらなかったなあ。
簡単にいうとAの文が「どんぴしゃ!・(どこかというと)内部」、
Bの文が「まんなか・中心」っていうかんじの意味の核をもっているようにおもう。

以下、我流で解字。
 Aの文を□ と | という二つの構成要素があるけれども、|が貫通しているところを□をシースルーにすることで見やすくしてるのね。「ここ!ここ通ってマス!」みたいな。
目のつけどころを|にしたらば「どんぴしゃ!」通ってますよ、あたり!だし、□にしたらば「(どこかというと)内部」、目印がついたその距離場所空間時期 ということができそう。
(1から4次元まで指定できそう。ただ当方の想像は5次元以上を感じることが出来ないので、もっと高次元を舞台とすることも可能なのかもしれないが…)
さらに 中のものの中身にまで解が及ぶわけだね。
|は なんか固体、とか一つの事象とかを象徴しているようにわたしはとらえているし、□の方に中身をもとめてしまうのだけど、
|こそが内容のたえず変わる流動体で、□という場所範囲を通過することで何かをつたえつづけているんだ とかしたほうが
今様なのかもしれないなあ。

Bの文は Aの文のようにかこいこみの範囲を規定していない、「ここが中心!」みたいなかんじ。(CF.中華)
ただ、「ここがいちばーん!」というのではなくて(すごい!とか えらい!とかではなく)
こういうものがある!と、そこから広がっていくかんじ、公平にここから決まっていくみたいなイメージがすこしある。
妥当→ちょうどいい→ほどほどの、在(または表)から汎さらに凡へというかんじ。(うまく説明できないなあ)
なかのこと、というよりも ある、ことから広がっていくときの起点(中心点)というかんじ。むーう。
そう考えるとこの文につく あいだ という語釈は微妙。おそらく始めでも終わりでもない辺りの意味を説明しようとしているのだけど、
むー、これむずかしい。中程度、という言葉の範囲を説明するのと同じくらいむずかしい、
ぬ、範囲があるのならむしろAの文の語釈になるんじゃないか?
(…まあうちの新字さんは改定前の旧い方で、もしかしたら弟さんたちの間では別の認識になっているかもしれないのだけども。)

…今日もおもしろかった。簡単な文字ほど多様な概念をかこいこむことができるのがたのしい。
(まじめに考えようとするとその分疲れるんだろうけど)ということで相も変わらず自己満で了。





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